子供にとって生まれてから最初に出会う集団社会が家庭です。子供達にとって世の中との接点が多くなるまではこの家庭が現実世界のすべてです。そして、この家庭を出発点に様々なことを学び始めます。
言葉であったり、考え方、人とのかかわり方、愛情、信頼関係、生活習慣、食生活、規範、教育、金銭面・・・様々なことを学んでいきます。
子供達は周囲の言動を真似ながら学び成長していきます。これはすでに新生児のときから始まっています。
赤ちゃんの発する音を真似て親も目を見ながら同じように相づちを打ちながら会話すると不思議と赤ちゃんもドンドン音を発して会話を続けていきます。
ごはんを「まんま食べよ~ね~」とご飯を「まんま」と言いながら食べさせていたら、いつのまにかご飯の時は「まんま、まんま・・・」と音をまねはじめ、そこから似ている音「マ~」「ア~」から「ママ」「ばあば」など言葉が広がり似たような音をまねるようになってきます。
このような似たような体験は多いのではないでしょうか。
そして単語だったのがある日突然、更に単語と単語がつながってくるわけです。
ちょっと話はそれますが、言葉の習得は聞くことから始まります。乳幼児の時の「聞くこと」から始まり、聞いた言葉を「模倣し」、そして「話すこと」を覚えていきます。そして、幼児期になり、見る(読む)ことを行って、その後言葉を書くことができるようになります。
乳幼児の頃は外の世界よりも家庭で過ごす時間がとても長いので、その家庭のなかでの親や身近な人のことをまねるところから覚えていきます。
それは、素直に目に見えるまま聞こえるまま受け取るままに・・・。教えられた通りのままに・・・。
良い悪い関係なく親、身近な人をそっくりまねていきます。
そうやって見ながら、体験をしながら、
「自分とは」
「目の前にある世界はどういう世界か」
「人にはどうやって受け答えして反応して行動すればいいのか」
・・・など学んでいき次第に自分で判断するようになっていきます。
2歳から3歳あたりから、お友達とおままごとなどするようになる年齢になりはじめたころに、お友達とのやり取りなどちょっと離れたところから観察してみてください、男の子よりは女の子の方が良くわかるかもしれません。
「はやくしなさい!」「ダメじゃないの!」「もう知らない!」「何してるの!」・・・と自分がお母さんから言われているまま怒られているままお母様の口調をまねておままごとをしていることがよくあります。
他にも、お父さんがお母さんにかける高圧的な言葉遣いや態度などを見ていて、子どもがそのままお母さんに同じような言い方や態度をとったり、友達に対しても使う・・・ということも。
そんな口調や態度を子供の遊びの中で使われている様子を見たとき、更に人前で言われたときには親もドキッとしてしまいますよね・・・。
子どもは親の鏡になってくれています。
子どもは良い悪いに関係なく、親の在り方、親の後姿を見ながら育っていくのです。自我も次第に芽生えてきますが子供たちが家庭・親から受ける影響はとても大きいです。
もちろん、まねるだけではありません。
お父さんとお母さんが不仲で険悪なムードや喧嘩ばかりして家庭の中が修羅場と化している場合、常に親がイライラしている、夫婦のコミュニケーションがうまくいっていない・・・など夫婦間の問題や親の葛藤不安イライラ・・・など目に見えない部分でも子どもの心にストレス(赤ちゃんでも)をかけてしまいます。
子供はそんな状況からストレスを軽減させ自分の身を守るために自分の思いを捻じ曲げて自分に楽な思い込み
「どうせこの世は怖いところだ」
「人は信じてはいけない」
「どうせ私はダメだ」
「どうせ私は無力だ」
「どうせ私は一人」
「どうせ私は愛されない」
・・・など自分自身の中で様々な思いこみを作ってストレス下でも生き易くする方法をとっていきます。
できることなら子育ての前に親自身が抱えている葛藤、悩み、不安・・・(夫婦問題も)など自分自身の心の中でのモヤモヤとした未解決になっている部分を解決していくのが望ましいですが、子育てと同時進行でもよいのでなるだけ早く自分の問題に気づき対処するのも子育てにスムーズに取り組みやすいことにもなります。
子供がストレスによって作ってしまう思い込みが幼いころから日々習慣になってしまうと思い癖となり信念化してしまうと、心身・言動・・・あらゆる面で成長と共に影響を与えてくることもあります。
心と身体はつながっています。
なぜか体の不調が続いてしまう、学校に通い始めても大きくなってからもなかなか行動を正すことができない、新たな習慣や考えがすんなりと受け入れられない、人間関係がうまくいかない、・・・子供自身にはどうすることもできなかった家庭環境によって無意識に作ってしまった思考パターンで、あとで子供本人が苦しんでしまいます。
ですから表面上は子どもが問題を起こしているように見える出来事も、子供が親の内面や家庭の問題を鏡として映し出してくれている場合も多くあります。すぐに子供を責めるのでなく、家庭の中で親自身の言動ありかたをもう一度振り返ってみるのも必要です。
そうすることで子供が発しているSOSや解決の糸口が見えてきたりします。
しかしながら、なかなかそこを家庭の中に問題があると認められない、認めたくない、見たくない、そんなはずはない・・・という気持ちが強く最初からそれを受け入れられないこともあります。
それでは、問題の解決が遅れてしまうこともあります。
できれば一呼吸おいて落ち着いて第三者的な立場に立って感情を抜きにして振り返って新たな視点を持つことも必要です。どうしてもその視点を持てず行き詰っているのなら周囲に相談するのも必要です。
子育て・教育の原点は家庭からですが、子育を完璧にできる人はいません。誰もが最初からよくわかっている人はいません。親となって初めて子育てが始まるので誰でも子育て初心者です。
焦らず、心を落ち着けて周囲と協力しながら今の時点でできるベストな方法を模索し解決に向かって動けばいいのです。
子育ては親を鍛えてくれます。子どもを育てながら親としての自覚、人を育てること、自分自身を育てることを学んでいきます。
子育ては親育てでもあるのです。
先は長いです。時にはふっと大きくゆっくり息を吐いて肩をおろしましょう。心の余裕を持ちましょう。そして、妊娠した時、子供が生まれたときの喜び、感動、嬉しさ、幸せ・・・そして我が子の姿を思い出してみてください。そしてその時の自分の感覚を思い出してみてください。
もう一度原点に戻ることで、冷静になれます。懐かしさと共に温かい気持ちがよみがえってきます。
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