日本にいれば子供たちは日本語は目から耳から五感を通してたくさん入ってくる機会があります。しかし、海外に住んでいると日本や日本語環境に触れる機会がグンと減ってきます。親が意識して機会や環境を作っていかないとどんどん子供達は日本語を失っていきます。
失うというのは、
●日本語での会話の中に英語が混じるようになる。
●ちょっとした日本語の使い方がずれていたり間違ってくるようになる。
●英語での会話が楽になる。
など。
両親が日本人で家庭の中で日本語を使っていても子供は就学年齢となり現地校へ通い始めるとどんどん現地の言葉が強くなっていきます。現地校へ通い始めるのに現地の言葉をしらない我が子は大丈夫かしらと心配していたのが、数年も経つと逆に日本語の維持を考えていかなければいけない、という状況に逆転します。
現地語が強くなっていくと、親の母語でない現地の言葉で子供とコミュニケーションをとる場面やその逆に子供の弱くなってきた母語でのやりとりもあらわれてくることもあり親子・家族の円滑なコミュニケーションという面で、意思疎通に互いに多少のズレを感じてしまう場面も体験するようになります。
現地校へ通うとき子供達にとっては現地語による教育が一番になりますが、土台となる言語・母語がしっかりしていて、初めて第二言語が発達するとも言われています。
また子供は成長すればするほど幼いころにはあまり意識しなかった自分が日本人であるというルーツや日本語、日本文化・・・など日本をキーワードとしたものに興味関心は強くなります。
日本や日本語に対して好きという感情や前向きなイメージや興味関心をもっていれば子供は成長した時にいろんな形で日本文化や日本語、日本とのかかわりを自分でも持つことができるようになります。
国際結婚で帰国予定がない人や駐在で近い将来帰国の予定がある、両親が日本人で現地に住んでいる・・・と家庭の環境は様々だと思いますが、子供が小さいころから親ができることとして海外にいても日ごろの生活の中で日本語環境を作りお子さまに日本や日本語に関してたくさん興味関心の種を蒔いておくことも大切な役割です。
そのためにも日本語でたくさんコミュニケーションをとってください。
●いろんな話題で、どんな場面でもたくさん会話をしましょう。
●親の日本人だから知っていて当たり前という考えは子供達には通用しません。「おうちの方が興味を持ったこと」や「わざわざ話すほどでも・・」といった話題でも、こちらから話しかけてみます。
●会話力は表現力や思考力とつながります。家庭ではつい、単語で断片的な言い方になりがちなので詳しく話させましょう。
●親も丁寧できれいな日本語をつかって会話します。
●表現がわからないのであれば、親がまず言い方を教えてあげます。そして一人で話せるような形へ持っていきます。
気を付けることは
▶「子どもの気持ちを代弁する」
▶「子どもの気持ちを察して先回りする」などを子供の成長とともに減らしていきましょう。 また、
▶子供の言い間違いを笑ったりバカにしたりとそういう態度もやめます。
▶聞いているフリや子供の言っていることをスル~、中断することも気をつけます。
子供は親が聞いているか聞いていないのか読み取ります。一生懸命話しても受け入れてもらっていないのを感じると伝えることを諦めます。またバカにされたり笑われると委縮して次の機会からは言葉を発することが怖い、恥ずかしいと失敗を恐れて消極的になることもあります。
子どもが今まで覚えた言葉を使って自分で表現していかないと会話力はつきません。いつまでも代弁したり、先回りして親が行動したり、子供を委縮させてしまうような言動は将来お子さまの自立を妨げ、コミュニケーション能力の低下にもつなげてしまいます。
子供達が安心して表現できる環境の中で上手にお子さまと日本語での会話を楽しんでください。
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