人生にはパズルのように小さいころからピースがたくさん散りばめられ、それが成長と同時にある時期から、ポツリぽつりとくっついて組み立てられ始めます。
そのピースに気づいて組み立て始めると、人生の仕組みのようなものを感じ始め人生って不思議で面白いと思うようになりました。
私のこの話も、そういった人生のピースの一つで、小学生の頃に出会い、それが組立られ始めたのはそれから15年ほどしてから、そしてそのピースに更にまたピースが組み立てられて広がってくのがそれからまた数十年先と・・・こうやっていろんなことが見えてきました。
下の写真の缶は、どこにでも売っているキャンディーの入った缶。私が小学生のころ、父の出張お土産でイヤリングと一緒にもらったもの。
缶の中には、イヤリングが入っていた包み紙を折っていれています。私が小学生のころに、父が出張からのお土産で買ってきてくれたものです。かわいかったので、缶も包み紙も、それ以来今までずっと私の手元に置いてありました。親元を離れて生活するときも、働き始めてからも、結婚してからも、そしてこのロンドンに来てからも・・・ずっといっしょでした。
もうずいぶん長いおつきあいとなります。
実は、この缶が私にとっての人生のパズルの一つなのですが、もちろん、小学生のころはそんなことは全く分かりませんでした。ただ、この缶が気に入っていて私の側にいつもあったというだけです。
最初の気づきは、20代。日本で働いていたころ。職場でこのキャンディー缶を小物入れに使っていました。ある日、中身を整理しようと缶の中をのぞくと・・・・。「あれ?知っている地名だ!」今まで何度も見てきた中に敷いてある包装紙に、初めて目が留まりました。
包装紙を中から取り出し、広げてよく見ると・・・なんとロンドンの地図でした。しかも不思議だったのが、その地図。ロンドンといえばロンドンの中心地が有名だから当然地図にもそんな場所が印刷されててもいいはずなのに・・・その地図はそこから外れていた場所。しかもその当時、ロンドン駐在中だった両親が住んでいた道路名が載っていた場所の包装紙でいした!!!どうして、そんな場所が・・・。 この時、かなり私自身驚きました。
しかも、裏を見るとこのキャンディーはイギリスから輸入されたもの・・・
あまりの偶然に、興奮して国際電話をかけ、もちろん、両親もびっくり。昔、父が購入したものだし、その場所に辞令がおりこの時そうやって実際に住んでいる父だったので、「父親のために、この缶は我が家に来たんだろう。」という話になっていました。
でも、実は、私へのメッセージがここに含まれていることに、それから十数年後、私が結婚しロンドンに家族と共に住み始めてから気がつきました。
気づいた頃は、私の生まれ育った家族との絡んだ糸が少しずつ緩み始めたほんとに最初のころ。子供のころからの苦しかった気持ちを、日本から会いに来てくれた妹が理解してくれたころでした。この出来事は、私の固まった心を、少しずつとかしてくれました。そして、家族にもようやく理解者ができたことがうれしかったのを覚えています。
そんな出来事が起こったころに、歩いて近くへ買い物に通う途中、ふと上から声が私に入ってきました。
「あの缶は私のためのもの。」
・・・・女性の声でした。
えっ?と驚いたのですが、もう一度、缶を整理しようと買い物をさっと済ませ急いで家に戻り、久しぶり缶の蓋を開けてみました。
すぐにわかりました。「ほんとうだ。これは、わたしのためにやってきた缶だ!」と!。
よく見ると、缶に敷かれた包装紙の中心は、私が独身時代にロンドンで最後に住み、そして主人と結婚した教会があった場所だったのです。
小学生の頃にもらった缶には、まさしく私にとっての運命の缶だったのです。